ウサギの避妊手術・去勢手術
ウサギにおいても犬や猫と同様に避妊・去勢手術が一般的に行われています。手術には麻酔を必要としますが、適切な手技で行われれば問題が起こる事はまずありません。一般にウサギは非常に繁殖力が旺盛です。複数飼いの場合、性的なストレスも含めて喧嘩によるケガが多いように思います。細菌感染に比較的弱いのでできるだけ喧嘩の原因を減らしたいところです。単独飼育の場合でも性ストレスは存在します。尿スプレーを所構わず行ったり、飼い主に対して攻撃行動をとったりする事があります。手術を行う事で性格が穏やかになり飼い易くもなりますし長生きの可能性も高くなります。生殖器疾患は非常に多く、子宮内膜炎による大量出血や子宮腺癌など致命傷になる事があります。文献によっては、犬や猫よりも生殖器疾患が多いという報告もあります。雌の場合、2歳以降で血尿がみられた時は、9割以上の確率で子宮に問題を抱えていると考えられています。年齢を重ねていくにつれてその発生率も上昇するとお考えください。症状があれば早期に、症状がなくとも獣医師と相談の上ご検討下さい。適正年齢はオスメスともに6カ月齢〜12カ月齢となります。手術当日は絶食は必要としません。
ウサギの毛球症
ウサギの病気の中で一番良く耳にするものとしては「毛球症」があります。胃や腸の中で停滞したり、詰まってしまう事で食欲減退などの症状を表に出します。ウサギの場合は、糞便が出なくなったり食事の摂取が滞ったりする場合は急激に状態が悪くなる事があります。もし、少しでも変だなと思われたら直ちに動物病院へご来院される事をお勧めします。
ウサギの歯牙疾患
ウサギに多く認められる疾患の1つとして歯牙疾患があります。多くは切歯や臼歯の不正咬合による過長が認められます。(ウサギの歯は上顎に4本の前歯、12本の臼歯。下顎に2本の前歯、10本の臼歯があります。)ウサギの歯牙疾患は単に口腔内の問題にとどまらず、食欲不振などを起こす事があり油断できません。ウサギは草食動物として、食べ続ける事で腸内フローラを健全な状態に維持しています。たった2、3日(ウサギの疾患の場合、3日は長期間)様子を見ていただけで症状が激変する事があります。ちょっと食欲が落ちたかな、ちょっと涎が多くなってきたかなとお感じになったらすぐに動物病院へお連れ下さい。ご自宅で分かる症状としては食欲不振、流涎(前肢の脱毛、毛玉が出来る)や歯ぎしりなどがあります。切歯の過長がある場合には外から見て分かる事があります。臼歯の過長に関しては犬や猫のように口を開けさせてみるという事がほぼ不可能ですので、違和感を持たれた時には動物病院にて確認してもらうと良いでしょう。当院では飼い主様からの問診や食欲低下の徴候が認められた場合、積極的に口腔内チェックを行うようにしています。
食事について
柔らかいものを食べさせていると適切に歯が削れていかない為、歯が伸びすぎてしまう事があります。ペレットフードよりも牧草を食べさせるようにして下さい。ペレットは、栄養価が高く、主食として与えていると肥満や尿結石の原因となるだけでなく、毛球症や歯牙疾患を起こしやすくなります。牧草には、主にイネ科のチモシーとマメ科のアルファルファなどがあります。成長期にはマメ科であるアルファルファが良いと思われます。一方、6ヵ月齢以降になったウサギには、カロリーが少なくカルシウム分が少ない(結石を作りにくい)チモシーなどのイネ科植物を選んであげてください。当院では、牧草やペレットフード以外にあげるとするなら、生野菜をお話しています。レタス、ニンジンなどから大葉(シソの葉)、小松菜、チンゲン菜、繊維をとったセロリなどをお勧めしています。また、バナナやリンゴ(スライスしたりすりおろしたり)も良いでしょう。但し、あげすぎると牧草を食べなくなったり、便が軟らかくなりすぎたりする事があります。時々食事に加える程度にしておきましょう。クッキーなどのお菓子やパイナップルなどのドライフルーツはあまりあげないでください。あくまでも嗜む程度を目安としてください。食べすぎると主食を残すようになったり、歯牙疾患や消化器疾患を引き起こす可能性が高くなります。時に飼い主様より、「うちではかじり木などの硬いものを食べさせています。」と言われる事があるのですが、これも問題があります。ウサギの歯は適切な食事(牧草やペレットフード)によって適切な状態に保たれるようになっています。硬すぎる食べ物は歯の損傷に繋がる事があります。硬すぎる食事、柔らかすぎる食事、どちらも良くないとお考えください。但し、ウサギの場合、食餌の変更をしようとしても思うように食べてくれない事があります。特に年齢を重ねるほどにその傾向が強くなります。無理矢理変更する事もリスクがあります。現在食べている食餌に関して、ご不安な場合にはご来院頂きご相談ください。