腫瘍の診断について
犬や猫の治療方針を決める際、原発病巣、転移の有無(リンパ節や遠隔転移)や全身状態に注目して進めていきます。① 原発病巣原発病巣とは最初に腫瘍(しこり)が発生した部位の事を指します。大きさや広がり、腫瘍細胞の種類を確認し、腫瘍の現在の状況を見極めます。必要に応じて、針を使った「細胞診検査」や「組織検査」を行います。② 転移の有無(リンパ節や遠隔転移)リンパ節は全身に存在する免疫器官でありがん細胞が全身へ広がっていくのを防ぐ役割を持つと同時に、がん細胞の通り道になる事があります。しこりの近くにあるリンパ節の状態を確認する事で転移の可能性を考えます。触診、レントゲン検査、超音波検査や細胞診などで総合的に判断します。遠隔転移とは、がん細胞が遠く離れた臓器に転移する事をいいます。がんの種類によって転移しやすい臓器は違いますが、肺や肝臓、脾臓、骨などが転移しやすい部位として挙げられます。レントゲン検査、エコー検査や、必要であればCT検査などを用いて転移を確認します。③ 全身状態腫瘍(がん)の存在が明らかであっても、腫瘍を取り除く為の治療が難しい状態であれば治療方針の変更が必要です。「腫瘍随伴症候群」やその動物の持っている持病(例えば腎不全など)によっては全身の状態を改善させてから腫瘍治療を行う必要が出てきます。血液検査やレントゲン検査などの各種検査を行う事により、異常を確認します。